こんにちは。山口市阿東の地域おこし協力隊の佐伯です。前回はNPO法人ほほえみの郷トイトイの事務局長で、各地で地域づくりの支援を行っている高田新一郎さんに、コミュニティ動員とモチベーション向上について解説していただきました。今回は「行政・自治体との関わり方」について解説していただきます
もし、その前のステップである①ビジョンの設定、②アクションプランの作成、③コミュニティ動員とモチベーション向上についてまだ読んでないよ!という方はそちらを先に読まれることをおすすめします!



地域と行政が協働する目的
ーー 今回は「行政・自治体との関わり方」について解説いただきます。まず初めになぜ地域と行政は関わる必要があるのでしょうか?
今、地方では地域のために何かしようと思っても住民の集まりだけでは予算が足りず、行政としても行政だけで動くとなると地域のためにならないことが多いです。加えて地方では人口減少という大きな課題を前に、限られた財源を効果的に使うことがに求められています。これらの理由から今後は地域と行政が協力しながら取り組むことが必要になります。行政だけではなく地域の人々が主体になって動くことで、効率的かつ持続可能な仕組みを作ることができます。
ーー では地域と行政はどのように協力したらよいでしょうか?
行政や自治体に任せるだけでなく、支援があれば地域で対応できると積極的に提案をどんどんしていくことが大切です。自治体もそうした地域には任せやすくなります。自治体も職員だけで考えた制度・施策を押し付けるのはよくありません。地域の声を聞いて作った制度は成果を上げやすく、その成果は自治体の手柄になります。
ーー 行政に任せきりにするのではなく地域が主導となって動く必要があるのですね。協力する上で他に必要なことや気をつけるべきことはありますか?
地域と行政が協力・協働する上で上記のことも大切ですが、地域としてもできることは自分たちで行う必要があります。例えば小さな木が道に倒れてたとして、それは役所に連絡しなくても当人たちでどうにかできるはずです。行政としても細々とした雑務で呼び出されるのは嫌気がさします。そういったことで役所の人間を使うのではなく、どうしても自分たちではできないことをいざとなったときに行政に依頼することで行政としても対応せざるを得なくなります。行政には行政にしかできないことを任せ、役人仕事をしてもらう。自分たちでできることは自分たちでする。このような協働を進めて、行政を効果的に活用できる地域が生き残ります。
事業や施策を実行する上での注意点
ーー 協働関係ができたところで実際に地域としては補助金を貰いに行くと思うのですが、その時に注意点やこうしたほうがよいっていうことはありますか?
補助金や実証事業を活用する際、任意団体や法人があると申請がスムーズに進みます。地域が任意団体および法人を作るタイミングとしてはアクションプランを作った後が最適です。また小学校区や村単位などでの取り組みは、校長先生や村の代表がいたりと地域住民全体の合意を得やすく、自治体としても信頼することができます。
ーー 他に注意点はありますか?
自治体は地域から頼まれたことをすぐに実行できるわけではありません。予算取りが必要なので実現は来年度になります。そのため地域は春から計画を練り、6月、7月あたりに行政に話を持ち込むことで、翌年の予算に反映させる必要があります。そいった行政側の都合を知っておく必要があります。また行政としては求めるのは成果です。地域はただ予算をもらうだけでなく、予算に対し「イベントが盛り上がった」「住民の満足度が上がった」といった具体的な効果を提示できるようにしましょう。
ーー これまでの話だと施策などを考えるのは地域に任せたほうがよいと言われましたが、自治体は何も出さなくてよいのでしょうか?
地域に任せたほうがその地域に対して間違いなく有効的というだけで別に100%地域に任せることはありません。自治体で施策など考えてもいいのですが、自治体は年功序列でベテランの意見が通りやすいところがあります。若手で本当に良いアイデアを持っていてもベテラン職員に一蹴される場合があります。その際は、地域に力を借り地域をバックアップとして提案すると効果的です。地域が賛成しているとなるとベテランも文句がつけられません。これまで地域が自治体を使うような話でしたが自治体としてはこんな風に地域の力を使うと話を進めやすいです。
地域と自治体の信頼構築
ーー 地域と自治体が協働するためには普段から友好な関係を築く必要がありますよね?具体的にどのようなことをしたらよいのでしょうか?
地域住民は些細なことで自治体に文句を言うのではなく、自分たちで解決可能なことは自分たちで行うべきです。行政のプロが本来の業務に集中できる環境を作ることが、自治体のためにもなりますし地域の自立につながります。また行政のミスがあった場合でも地域のリーダーが間に立って調整を行うと、無駄な労力が省け、双方にメリットがあります。そのため自治体としても何か謝らなければならないことがあれば住民に直接謝るのではなく、一度地域のリーダーに相談してみましょう。
ーー 他にするべきことはありますか?
月に一度程度で自治体職員と情報共有を行うなど、日常的な関係を築いておくことも重要です。情報共有の場では個人の意見でなく地域全体の総意を伝えることが、自治体との信頼を深めるポイントです。自治体職員の中でも特に20代、30代の若手担当者は意欲が高いことが多いため、地域としては若手と信頼を築くことはより良い結果につながるでしょう。
地域と行政で協力し、地域を盛り上げよう
地域と行政がお互いに有効的な関係でいることで地域にメリットが生まれることがわかりました。まさに適材適所ということですね。行政と協力し合える関係を作って地域を盛り上げていきましょう!