皆さんこんにちは、まつきおです。前回はNPO法人ほほえみの郷トイトイの事務局長で、地域づくりの支援を行っている高田新一郎さんに、地域づくりにおける行政・自治体との関わり方について解説していただきました。今回は、「地域課題解決の手引き」シリーズの最終章、そもそもなぜ地域課題解決に取り組むのか、それは何の為なのか?についてずばり!高田さんにお聞きしていこうと思います~!
もし、「地域課題解決の手引き」シリーズの他の記事を読んでないよ!という方、最終章の前にもう一度おさらいしたい方は先にこちらの記事たちを読まれることをおすすめします!




そもそも、どうして地域課題解決に取り組むのか?
ーー 高田さん、本日はそもそもどうして地域課題解決に取り組むのか、についてお話を伺いたいと思います。まず、地域課題解決に働きかける必要性をどのように感じていらっしゃいますか?
ありがとうございます。地域課題については、特に人口減少や少子高齢化といった問題があり、それを地域の方も重々承知だと思いますが、地域課題を取り組む上で多くの人が「知っているけれど実感がない」という状況が深刻だと思います。「現状はなんとなくわかっているけど…」と漠然としていたり、「現在語られている地域課題について、将来を見据えて考えていない(考えられない)」など危機感が薄いため、当事者のひとりでありながら、どこか課題が他人事のように捉えられがちです。しかし、実際にはそう遠くない将来には確実に今より地域の人口が減り、少子高齢化が進むことで、皆さんにとってこの地域での暮らしが大きく変わる時期が必ず訪れることは間違いないでしょう。これは阿東地域だけではなく、全国の地方自治体でいえることだと思います。
目の前の課題、進まぬ解決への道 地域の方にまずは知ってもらおう!
ーー 確かに、課題の深刻さを頭ではわかっていてもよくわからない難しい!どうすればいいかわからない!という声をよく耳にします。そうした場合には、どのように働きかけていくのがいいでしょうか?
ただ「人口減少」「少子高齢化」といっても漠然としているので、統計やデータといった数値的な根拠を活用して、地域の現状や将来予測を明確に伝えることが大切ですね。例えば、「現在の人口がこのまま減少すると、20年後には半分以下になる」「人口減少により、地域の生活圏にあるもの(スーパー、コンビニなどのインフラ)が経営が維持できずに撤退する」など具体的な根拠をもとに現在と未来(将来)を示すことで、多くの人が「このままではいけない」とおのずと実感するようになります。
ーー それでも、「今、目の前の生活に影響がないから大丈夫」「と感じる人も多いように思います。その点についてはいかがでしょうか?
そうですね。ただ、そこで考えるべきなのは、「今の課題解決が解決されずにいたら、地域の未来をどう変えるのか」を見据えたアクションを、地域のひとりひとりが小さなことからでも考えてアクションを起こすことです。現在から数年後といった目先の改善だけではなく、次の世代が生きる10年後、20年後の地域の持続可能性を見据えた取り組みが必要だと思っています。今、地域の課題を知って危機感を覚えて、なにか小さなアクションでも起こしている地域と、何もせず現状を放置している地域とでは、将来的に大きな「格差」が生まれるでしょう。
アクションするか、しないかで生まれる地域課題に対する格差
ーー 「格差」という言葉が出ましたが、それがどういう形で現れるのか、具体的に教えていただけますか?
例えば、積極的に地域課題に取り組み、地域に興味を持ってもらおうと頑張っている地域では、地域に興味をもって外からの移住者が増えたり、地域の魅力が高まったりといったポジティブな変化が期待できます。一方で、「どうすればいいのだろう」と悩むだけで行動を起こさず課題をおざなりにした地域では、地域に興味を持ったりする人が少なく、人口減少がさらに進み、結果的に学校や医療施設の廃止、交通・商業インフラの崩壊といったネガティブな連鎖が起こる可能性がありますね。失ってから取り戻すのは大変ですよね。
ーー なるほど、それは確かに大きな違いですね。小さな一歩が、大きな将来を支えるのであれば、地域の方ひとりひとりが「地域づくり」や「地域課題解決」に対して危機感をもって、高田さんが考える「地域課題解決の最初の一歩」とは何でしょうか?
まずは、自分たちの地域が直面している現状を知ることだと思います。そして、何でもいいから小さなアクションから始めること!たとえば、地元のイベントに参加したり、何気ない井戸端会議でもいいし、地域団体の集まりなどで地域の課題について話し合う場を設けるといったことでも良いと思います。暮らす地域の未来を想像しながら、日々少しずつでも行動を重ねていくことが大切です。
ーー 本日は貴重なお話をありがとうございました。これからの地域づくりのヒントになればいいですね。
将来の地域のために、地域のひとりひとりが一丸となって未来について考えていきましょう!
地域課題解決の手引き、皆さんの地域にある課題解決のヒントとして
シリーズで続いてきました「地域課題解決の手引き」、これにて完!となります。阿東地域をはじめ、皆さんの暮らす地域にある課題解決に向けて、一人ひとりの小さな行動が未来を変える大きな一歩になります。まずは声をあげて、声を集めて、そして実際にアクションをおこしていく…身近なことから始めてみてはいかがでしょうか?