移動スーパーって何をしているの?移動スーパーを半年間体験してみて感じたこと

こんにちは!山口市阿東の地域おこし協力隊の佐伯です。最近いろんなところで移動スーパーを見かけるようになったと思いませんか?僕は実家の近くでフジの移動販売車を見かけます。知らなかったのですが、とくし丸という移動スーパーは47都道府県に展開していますし、それにセブンイレブンもサービスを始めました。調べると移動スーパーは徳島のとくし丸が始まりみたいで2012年から始まっていたようです。ただコロナ禍で流行ったようなので最近見るようになったと感じるのも間違いじゃないと思います。コロナ禍もありますが高齢化が進んでいる中で一番買い物に都合がいいのがスーパーから移動スーパーになりつつあります。僕はトイトイというNPO法人のスーパーで活動しています。トイトイも移動スーパーをしており、そこで僕は移動スーパーの販売員を半年間体験しました。そこでの体験談や感じたことや体験談を紹介します。

目次

移動スーパーとは?スーパーと移動スーパーの違い

移動スーパーはそもそもご存知でしょうか?僕は地域おこし協力隊になるまで知らなかったです。移動スーパーとは移動販売車の中でもスーパーで売っているような食品や日用品を売っている車を指します。だから焼き芋や焼き鳥を売っている車みたいに調理ができる車とはまた違います。トイトイでは販売車独特の荷台に売っているものをパンパンに詰めてお客さんのもとに持っていきます。ただ車のサイズとしては普通自動車サイズなので持っていけるものには限界があります。それなら自分でスーパーに行ったほうがいいのでは?と思いますよね。実際スーパーのほうが売っているものが多いし種類も多いです。

なぜ移動スーパーが必要なのか?

僕は田舎に住んでいます。家はポツポツ建ってて移動には車が必須です。もちろんスーパーに行くのにも車が必須で、自宅から最寄りのスーパーまで20分かかります。田舎は著しく少子高齢化が進んでおり車に乗れない、または車に乗るのが怖い人がたくさんいます。田舎で車に乗れない高齢者はとても本数の少ないバスに乗るか、タクシーを使うしかありません。さらに山奥に住んでいるような人は交通機関は無く移動手段はありません。そんな生活弱者のために移動スーパーがあります。大体の移動スーパーは広場に停まって、そこに人が集まるような仕組みです。トイトイも同じように集まってもらうこともありますが、家がポツポツとあるので基本的には家一軒一軒周っていってます。たまにお客さんからトイトイに来てもらって助かると言われます。もはや高齢者にとって移動スーパーは生活の一部となっているのです。

移動スーパーの1日!移動販売員は何をするの?

朝の準備

お客さん目線だと移動スーパーの仕事はお客さんのところをまわって商品を売ることだけが仕事だと思われがちですが、実は準備も大変です。出勤して移動販売に出る前にその日持っていくものを車に載せます。常備品とその日に入ったもの、お客さんに持ってくるよう頼まれている注文品を載せます。載せるときはその日にお買物されるお客さんのことを考えます。例えば月曜日はお客さんに山田さんがいて牛乳が好きだから多めに持っていこうという風に考えます。野菜とかも白菜が旬だからみんな買うよねといった感じのことを考えます。また、同じ商品を極力持っていきます。人それぞれにお気に入りがあって、こだわりがある人はそれじゃないと嫌と言われることもあります。準備が終わったら移動販売に出発します。

移動販売

移動販売ではお客さんの家を周っていきます。お客さんの家に着いたらまずお客さんが見やすいように商品を並べていきます。その間にお客さんが出てこられることがほとんどですが、耳の悪いお客さんもいるのでそういうお客さんは直接呼んであげることが必要です。ピンポン鳴らしたり玄関から直接呼んだりします。どこまでしてあげるかはお客さんとの関係値によるので気を付けなければいけません。自分のこととして考えてみて知らない人が玄関開けてきたら怖いですよね。

お客さんが出られたらお買い物をしてもらいますが、ここでも気をまわしてあげてください。高いところにあるものをとってあげたり、目の見える位置に出してあげることが背の低い人には必要です。お客さんの目線に立って考えることが大事だと僕も習いました。それにおしゃべりがしたい人とは積極的に会話をするのも大事です。高齢者だと家に一人でいるということも少なくありません。普段話してない分、話したい人もいます。ただしあまりおしゃべりが好きじゃない人もいるのでそこも見極める必要があります。こうやってお客さんのことを気にすることでお客さんも気分がよくなりますし、気分がよくなると自然と多めに買い物してくれることもあります。お買い物終わりには荷物が重そうなら家の前まで荷物を持っていきます。出発するときには見送ってくれるお客さんには手を振ったりします。こうしてただ店員とお客さんの関係だったのがお客さんから頼られる存在になります。

移動販売に出る時間や順番を変えないこともお客さんから求められていることの1つです。お客さんは決まった曜日の決まった時間に来ると思ってるので、適当に時間を変えてしまうとお客さんも来ないし、最悪来ると思っている時間に外で待ってたりするのでずっと待たせることになります。忙しくて遅れるということは仕方がありませんが、早く着いたならいつもの時間まで待ってあげることも必要です。

片付け・事務作業

移動販売中はこれらのことに気をつけて、気を使って対応しています。移動販売から帰ったら売れ残った商品の管理をします。トイトイの移動販売車には冷蔵庫、冷凍庫が備え付けてあります。野菜も持って行ってます。要冷蔵の商品は冷蔵庫に戻し、冷凍庫は車の電源から本拠点の電源に変えてます。野菜も冬は凍ることがあるので常温の場所に戻しています。それらが終われば常備品の補充と売り上げの記録を出して僕の1日が終わります。

他の従業員も仕入れ・発注、お惣菜のための料理やPOSシステムの管理などをしており、販売員や裏方など多くの人が関わり労力をかけ継続することにより成り立っています。

移動スーパーに来るお客さんたち

移動販売ではいろんなお客さんに出会います。お客さんはお年寄りがほとんどですが元気な方もいれば足腰が悪くて病院に通ってるって人もいます。耳が聞こえないって人もいれば認知症の人もいます。その人ごとに対応を変えてあげる必要があって、接客や対人コミュニケーションを鍛えられてる気がします。耳が聞こえないって人にはボディランゲージや商品を見せることによって伝えたり、認知症の人には以前会った時の話をしない、また生物を売らないよう気をつけています。

中には自分にとって嬉しい出会いもあります。イベントや地元のチラシで見たよって言ってもらえたり、頑張ってねと野菜やお菓子をもらったり、こちらが元気をもらえることがあります。僕としては一番嬉しいことは顔と名前を覚えてもらえることです。打ち解けたというか信頼されている気がして嬉しくなります。印象的だったできごとは、夏にお客さんのご主人が坂の下で草刈りをしていたとき、バランスをくずしてこけてしまいました。そのご主人を起こして坂の上まで連れて上がりました。それからお客さんに顔と名前を覚えてもらえました。僕としては当たり前のことだったので嬉しかったのを覚えています。

まとめ

移動スーパーは気軽に始められるものではありません。継続による信頼が伴う仕事で、普通のスーパーと比べてお客さんが定着するまで大変でしょう。必要としている人は必ずいますがビジネスとして行うならばもっといい方法があると思います。ただ移動スーパーは普通のスーパーよりもお客さんと密接に関わることができ、人のためになっていることが目に見えるのでやりがいのある仕事です。地方活性のために何かがしたいって方や仕事にやりがいを求める方にはとてもおすすめできる仕事です。

筆者(サイト運営者)

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