こんにちは!山口市阿東町で地域おこし協力隊をしている佐伯です。阿東町の地福地区には地元住民に愛されている「トイトイ」という名前のスーパーがあります。このスーパーは開店して10年ほど経ちますがチェーン店ではなくNPO法人が運営しています。阿東町は山奥の過疎地域です。どうして過疎地域でここまで続けることができたのか?その理由の一つは、人が集まる地域の拠点になっているからです。今回の記事はもともとただのスーパーであったトイトイはどうやって地域の拠点となったのか?トイトイ運営者の高田さんにインタビューしましたのでぜひ一読ください。またトイトイについての話は他に数話ありますのでぜひ読んでください。




スーパーから地域の拠点に
ーー これまでのインタビューではトイトイを立ち上げた際の話を聞きました。ただのスーパーが買い物以外の目的で人を集めるのは難しいと思いますが、スーパーであったトイトイを地域の拠点にするためにどのようなことをしたのですか?
トイトイはオープンしてから数年経ったのち、スーパーや移動販売を地域に定着させることに成功しました。トイトイは次のステップとして当初の目的であったトイトイを地域の拠点にすることを目標としました。スーパーでもお客さんと店員、お客さん同士での交流はあるものの、スーパーとして利用しにくる人がほとんどで、地域の拠点と呼ぶにはイマイチな働きです。そのためこれまでお惣菜づくりなどに使用していたスペースを交流スペースに変えて何か始めようと考えました。そこで目を付けたのが百歳体操です。百歳体操というのは高齢者にフォーカスした体操で、足腰の筋力をつけ転倒を防ぐのが目的です。著者も百歳体操に参加させてもらったことがありますが、意外とキツイです。立ったり座ったりを繰り返すところなんかは鍛えられてる感じがしました。トイトイは百歳体操を始めたことで、近所の高齢者が体操をするために定期的に来るようになりました。体操してもらおうとして企画した百歳体操でしたが、体操を目的に来た人たちで集まっておしゃべりすることが自然と習慣となり、さらには体操でトイトイのスタッフとお客さんが仲良くなったことで、スーパーとしてでなくおしゃべりが目的で気軽に来てもらえるようになりました。
こうして交流の場として使われるようになったトイトイは、おのずと地域の人が集まる拠点となりました。これで当初の目標はクリアして一息つくことができました。そんなときトイトイでさらに何かできないかと集いができました。ですが集ってくれた人たちの思いとは裏腹に、トイトイには時間の余裕はあっても金銭的に余裕がありませんでした。この取り組みも必要な経費を出してもらえても人件費に対する費用は発生しないというものでした。このときはまだスーパーや移動販売の売り上げも安定していないので集いからの経費や実費で何か取り組みを興せるとは思えませんでした。そこで考えたのは補助金を使うことでした。
地域拠点として補助金で何をするべきか
ーー 補助金を使うと言われましたが、補助金はそんなに簡単にもらえるものなのでしょうか?
補助金をもらうのはとても難しいです。そもそも補助金をどこが出してくれるのか?一般的に利用されるのは国からの補助金です。ただし国から出る補助金は事業に必要な経費しか出ない上(人件費などは出ない)、経費の使い方に融通がきかないことがほとんどです。国からの補助金には期待できません。そこで目をつけたのは民間企業が出してくれる補助金です。様々な民間企業が補助金を出しており、企業ごとに補助金の金額や条件などは変わります。このときはJTの補助金をもらおうと考えました。大体の補助金に人件費は出されませんでしたが、JTは人件費込みで補助金が出ました。そのため補助金をJTからもらおうと考えました。
ですが補助金をもらうには何をするかアイデアが必要です。そこで目を付けたのが子ども食堂です。子ども食堂とはあまり食に対して恵まれていない子どもに対して無料もしくは格安でご飯をふるまう取り組みで、全国各地で取り組まれています。子ども食堂をしようと考えはしましたが、恵まれていない子どもを集めるようなことをすると、その子どもや家族に対して貧困なのだと偏見がついてしまいます。それを嫌ってもう恵まれている・いない関係なく地域住民全員に対してふるまうようにしました。それを地域食堂と仮称し実施しました。
新たな取り組み、地域食堂とは
ーー 子ども食堂というものを初めて知りました。子ども食堂自体素敵なアイデアだと思いますが、さらに発展させた地域食堂は実際には何をするのでしょうか?
考えた地域食堂とは子どもだとか関係なく、地域の住民が集まってみんなで食事をするというものです。このときの食事代は無料もしくは格安で実施しました。このときの地域食堂は、格安で食べられる代わりに料理から配膳、片付けをしてもらいました。子どもたちからしても料理を作って提供する貴重な体験ができ、大人たちから見ても普段関わることのない地域の子どもたちとおしゃべりができる機会となりました。この活動でJTから補助金を受けることができ、地元住民からしてもトイトイが素敵なイベントを催してくれたとの評価を受けました。この地域食堂はもう何年も前の話ですが、今ではこのようなイベントはメジャーになりつつあるようです。
まとめ
地域拠点を作るには定期的にイベントなどで人を集め、この場所に行けば人がいる、おしゃべりすることができると思ってもらうことが重要です。そうすることで拠点に来やすいイメージができ、自然と人が集まるようになります。またイベントのために補助金を使う際には各団体が出している条件に注意してください。国の補助金では固定資産を買うことができなかったり、民間企業の補助金でも人件費や賃借料に使えないこともあります。行うイベントにあった補助金を探しましょう。