地方スーパーがIT化で業務効率化+売り上げアップ!kintoneを導入した経緯、得られた実績を紹介します。

こんにちは!山口市阿東町で地域おこし協力隊をしている佐伯です。阿東町の地福地区には地元住民に愛されている「トイトイ」という名前のスーパーがあります。このスーパーは開店して10年ほど経ちますがチェーン店ではなくNPO法人が運営しています。トイトイでは業務の一部をサイボウズ社のkintoneを使用しIT化しています。このIT化によって売り上げが向上しています。今回はトイトイの代表である高田さんにインタビューしましたので、kintoneを導入した経緯、またどういう利用方法で売り上げが向上したのか紹介していきます。下のリンクはサイボウズ社製kintoneのホームページです。kintoneについて知りたい人は覗いてみてください。

https://kintone.cybozu.co.jp

トイトイについては創立の話や事業の話など別の記事がありますのでよかったら一読ください。

目次

kintone導入のきっかけ

ーー 本日はトイトイの代表である高田さんにお話を伺っていきます。トイトイではサイボウズ社のkintoneという製品を使用してから業務に大きなメリットが出たと以前伺いましたが、はじめにkintoneを導入した経緯について教えていただけますか?

トイトイがkintoneを導入するきっかけになったのは2台目の移動販売車の運用が始まったことでした。はじまりはトヨタモビリティ基金による助成金制度で、平成29年か30年頃に移動の仕組みというテーマが応募要項の中、あえて顧客を移動させる考えではなく、移動販売車で顧客・地域の買い物を増やすテーマを提出。無事に採択されました。(トヨタモビリティ基金はトヨタ自動車が設立した財団です。詳しいことは下のリンクを見てください。)

https://toyotamobilityfoundation.jp

この助成金を活用し、2台目の移動販売車をリースで導入。2年のリース後は好きにしてよいとトヨタモビリティ基金がいうので、リース代の残価を後に自費で買い取りトイトイの所有物としました。

トイトイの移動販売車

移動販売車が増えたタイミングで、販売機会が増やすだけでなく、お客さんの買い物に対する満足度を上げる取り組みを始めました。地域・人とつながることで移動販売車の利用がお客さんにとっての楽しみになるよう考えたのです。

満足度を上げるにはどうしたらよいか?移動販売車の2台運用で利用機会を増やすことに加え、お客さんとの会話をデータベースに入れていくことを思いつきました。データベースを蓄積させていくのにいいものはないかと探していたところ、知人からkintoneを勧められました。そこでkintoneの運用が始まりました。

地方でのIT活用

ーー kintoneをデータベースとして使用する目的で導入されたんですね!確かにkintoneは有限ではありますが膨大なデータが保存できるので活用方法としてはマッチしているかもしれません。では具体的な活用方法について教えていただけますか?

山口県阿東町はかなり田舎です。こういった地方では高齢の方がとても多いです。実際に現在の阿東町では人口の半分が65歳以上となってます。

トイトイは高齢のお客様が多いことを理解しているからこそ、表向きなITの活用はしません。kintoneを導入しましたが使っているところは一切お客さんに見せず、あくまでスタッフが利用するものとしました。買い物時の会話をデータベースに入れることで好きなもの嫌いなものを把握するだけでなく、次回お客さんに会ったときに以前のできごとや趣味の話で会話をすることができます。

つまり表ではこれまで通りアナログな対面の接客を行い、裏でキントーンに情報を蓄積。次回以降の訪問で商品提案や会話に役立つヒントとして利用しています。下の画像は移動販売でkintoneにメモした一例です。

kintoneに記録されている訪問販売時のメモ

そうしてお客さんはITを直接利用していないにもかかわらず、ITによって満足度が向上しているのです。田舎ではこのような活用方法が求められています。

kintoneである利点

ーー 阿東にずっといたからこその知見ですね。街で暮らしているのでは考えつかない活用方法だと思います。kintoneを使い始めてしばらく経ちますが他の製品などと比べて利点はあるのでしょうか?

kintoneは知人から勧められたものではありますが、コストがあまりかからないのが利点です。導入当初は初期費用が助成金しかなく、ほとんどが移動販売車のリースで無くなったためちょうどよかったのです。システム会社に専用に作ってもらうとかなり金額がかかってしまいますが、kintoneだとシステム自体は年会費しかかからず、さらにはNPO法人を応援する割引がありました。kintone内のアプリを作ってもらうのに外注こそしましたが、それ以降大きな費用はかかっていません。下のリンクがNPO法人向けの応援ライセンスの説明になります。

https://npo.cybozu.co.jp

加えてkintoneは簡単なものであれば自分たちでアプリを作ることも可能です。移動販売のためのデータベースを作るのは難しかったので外注しましたが、顧客のデータを入れるアプリや売り上げ記録を入れるアプリなんかは簡単にできます。プログラミングなどに触れてこなかったトイトイのメンバーからすると都合のよいものでした。

IT化に対するトイトイの理念

ーー kintoneならではの利点があるのですね。だれでもアプリが簡単に作れるのは他にない機能だと思います。田舎で積極的にIT化をするのは珍しいと思うのですが、IT化を積極的にしていこうという意思があるのですか?

トイトイはIT化に対して前向きで、地域の高齢者にも技術の発展の恩恵を受けてもらいたいと考えています。しかし当人たちが使う必要はないと考えています。僕も阿東で1年ほど暮らしましたが、高齢者からすると新しい技術は受け入れがたい、また敬遠してしまうものです。そのため移動販売で行っているような裏でのIT活用の場を模索しています。

kintoneの導入はお客さんにとってプラスに働きましたが、トイトイにとってもプラスになりました。直接的な関連性はありませんがkintone導入後、売り上げが上がりました。推測ですがkintoneの活用などでお客さんの気分がよくなって多めに買い物するようになったのかと思います。

kintoneの活用法として会話の記録や不在記録をつけることによってお客さんの健康を守っている一面もあります。いつも買い物に出ているのに不在なら多方面に確認を取ったりして安否確認をしたり、足を悪くしたと先週の記録にあれば、その日の担当が先週と違ってもお客さんに配慮した対応ができます。こうしてお客さんは知らぬ間にIT技術に守られているのです。

まとめ

トイトイでは地方だとか関係なく積極的にIT技術を取り入れています。kintoneの導入によって売り上げが上がったことについては後からついてきたことですが、スタッフが会話記録を元に対応することで買い物というイベントに満足する人が増えました。結果お客さんの定着やスタッフとお客さんが仲良くなることにもつながりました。IT技術の導入はいいことづくめに聞こえますが、使い方に気をかける必要があります。IT技術を全員がそのまま活用できるとは限りません。そのためトイトイはスタッフが活用し、お客さんが恩恵を得る体制を取りました。

場所場合にもよると思いますがIT技術はうまく活用することによって多方面にプラスに働きます。kintoneなど簡単に利用できるものもあるので業務に合ったものを探して活用してみてください。

次回の記事ではトイトイで実際に使っているkintoneのアプリや画面をお見せします!

筆者(サイト運営者)

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