Iターン移住した私が感じた「Uターン移住」のメリット

東京で30年近く暮らしたのち、山口県山口市阿東にIターン移住。私は「縁もゆかりもない土地に移住」したIターンですが、同じ地域でUターン移住してきた仲間たちと交流する中で、「Uターンならではの魅力や課題」がよく見えてきました。
Iターンの私から見ても、Uターン移住には羨ましいほどの強みがあります。それはすでに人脈形成ができており、暮らしの基盤がある程度つくられていることです。人間関係をゼロから構築して信頼関係を得るまでには時間がかかりますし、生活の中で困ったことがあった時に身近に頼れる人がいるという安心感は大きいです。過疎化の進む地方では、同世代と知り合いになるのも一苦労!でも、Uターン移住であれば地域で学生時代を一緒に過ごした同級生がいるため、苦労することはありません。
この記事では、Uターン移住とは何かをわかりやすく解説しながら、実際の移住者の声や、地域の支援制度、仕事や暮らしのリアルな可能性についてご紹介します。これから移住を検討している方や、Uターンを迷っている方にとって、役立つヒントになれば嬉しいです!
Uターン移住とは?Iターン・Jターンとの違い
- Iターン:都市部の出身者が縁のない地方に移住すること(私はこちら)
- Jターン:都市部に出た人が、故郷ではなく近隣の地方都市に移住すること
- Uターン:故郷に戻る移住
「Uターン移住」とは、一度都市部に出て進学や就職を経験した人が、再び故郷に戻って暮らすことを指します。アルファベットの「U」の字のように「地元 → 都会 → 地元」と戻ってくる形から名づけられました。

総務省の調査によると、Uターン移住希望者は年々増加傾向にあります。特にコロナ禍以降は、都市部の生活に加えて「地元に戻って暮らしたい」というニーズが高まり、移住の選択肢として再注目されています。(地域の人の流れに関するデータ 総務省)
似た言葉として「Iターン」「Jターン」があります。なお、Iターンについては私の経験談を踏まえ、移住を検討する上でフル活用した支援制度などを紹介しています。またJターンで岩国市から山口市へ地域おこし協力隊制度を活用して移住した佐伯さんの記事もありますので、ぜひ合わせて読んでみてくださいね!



地方創生やコロナ禍の影響で「地方移住」が注目されたこともあり、総務省や各自治体も「UIJターン支援」を展開し、地域創生の大きな柱とされています。(Uターン/Jターン/Iターン~まだまだある!日々生まれていく新たな移住のカタチ~(公益社団法人 ふるさと回帰・移住交流推進機構 JOIN-FURUSATO))
Uターン移住で広がる仕事と暮らしの可能性
地方でのリモートワークや副業の現状
かつては「Uターンしたら仕事がないのでは?」と不安に思う人が多くいました。しかし、コロナ禍を契機に リモートワーク が普及し、都市部の企業に勤めながら地方で暮らす人も増えています。
また、副業解禁の流れも追い風となり、複数のナリワイを持つ働き方 が現実的になりました。例えば「平日はオンラインで東京の企業に勤務し、週末は地元で農業や観光事業に関わる」といった二拠点的な働き方です。

都会で培ったスキルを活かし方
地方では人材不足が課題ですが、それは裏を返せばビジネスチャンスが豊富ということ。観光業・IT・福祉・農業など多くの分野で、都会での経験やスキルをそのまま活かす場があります。
阿東はじめ山口県内でも、移住者がカフェを開業したり、地域メディアを立ち上げたりする事例が増えていますよ! 先輩移住者の声(山口市移住情報 すむ住む山口)
Uターン移住者の実例からみる移住の生業やそのメリットとは
ゲストハウス×米農家の二足にわらじで活躍!(落合せい香さん)

大阪でキャリアを積んでいた落合さんは、「ゲストハウスを開業したい」との思いから阿東にUターン移住しました。
最初は宿泊業に集中していましたが、米農家であるご両親の手伝いをする中で農業の魅力に惹かれ、いまでは ゲストハウス運営 × 米農家 という二足のわらじで地域に貢献しています。自然満喫型ゲストハウス郷~sato~オフィシャルサイト
「本当はゲストハウスをメインに生業として暮らそうと考えてUターンで地元に帰りました。でも、両親が一生懸命お米をつくる姿をみていたら、いつの間にかお米をつくることにも熱く、そして楽しくなっていて。(笑) それからは、ゲストハウスを経営しながら、米農家との兼業で働いています。」
「前まではキャリアウーマンとして都市部で働き続けるビジョンもあったんですが、今こうして地元へ帰りやりたかったことをできているし、終身雇用の概念がコロナ以降薄れた時代となったこともあり、こうして兼業農家として働いていくビジョンの方が自分にあっていると感じています。」
私も落合さんのUターン移住についての話を伺って、「この阿東ならいろいろなチャレンジができるんじゃないか」と背中を押されてIターン移住を決めた部分もあります。それくらい落合さんはこの地域でいきいきと働いているな!と肌で感じました。
地域おこし協力隊制度を活用し地元へUターン(白松孝憲さん)

理学療法士として都会で経験を積むなかで、「山口をより住みやすいまちにしたい」という強い想いと出会った「地域おこし協力隊」という機会に導かれ、2021年1月、奥様とともにUターン移住した白松さん。
地福フィットネスクラブを設立し、地域の方が主体となる活動の場を生み出すなど、理学療法士としての専門性を地域づくりに活かして活動してきました。さらに、協力隊任期終了後にはNPO法人の設立に至り、今では送迎支援やデイサービス、転倒防止講座など、本格的な地域リハビリ活動を展開しています。
「Uターン移住のメリットは、単に故郷に戻ることだけではありません。私自身、山口市には『人が多すぎず、程良い距離感でつながれる環境』があると感じUターン移住を決めました。さらに、山口市は創業支援が充実していたのと、同じ業種で競合も少なかったので、新規事業を始めるのに絶好の場だと感じました。」
「現在は自然環境に恵まれた阿東と、生活の利便を享受できる宮野といった“二拠点生活”をしながら暮らしています。協力隊任期中にお世話になった阿東地域の方、そして法人立ち上げ後に事業展開して山口市街地でお世話になっている方、その両方に自身の専門的な経験を活かせるので、公私ともに充実しています。」
Uターンだからこそ活きる「人脈」と「地域基盤」
「地元だからこそ人脈が活きる」「両親の高齢化を見据えて農業を継げる」という点もUターンの強み。Iターンの私から見ても、Uターンの方がコミュニティへの入りやすさは格段に違うと感じます。基盤がある程度ある地域で、社会人として都市部で経験を積み、そのノウハウをもって地元を盛り上げたい!とUターンした方は、実際私の周りでも増えています!
コミュニティとのつながりが生む安心感

都会生活では隣人の顔すら知らないこともありますが、阿東のような農山村地域では「助け合いの文化」が根付いています。
例えば、私が冬にひとり慣れない雪かきをしていた時、近所のおじいちゃんが黙ってスコップを持って「こうやってやるんだ」と手伝ってくれたことがありました。小さな出来事ですが、こうした日常の積み重ねが「ここで暮らしてよかった」と思える瞬間です。
もし、もともとUターン移住で私が阿東へ移住していたら、この近所のおじいちゃんももともと知り合いで、雪かきだけではなく他の困りごとも気兼ねなく相談できたんじゃないかな?と、Uターン移住だからあるメリットがうらやましく感じました。Uターンの場合は特に「顔なじみの人に囲まれて暮らせる安心感」というが人脈が助け合い文化にプラスしてメリットになるでしょう。
Uターン移住と地方創生の関係
Uターン移住は、単に「地元に帰る」だけではありません。地域活性化の担い手 となる存在でもあります。
- 地元産業の後継ぎ手不足を補う
- 新しい視点で地域ビジネスを起こす
- 移住者コミュニティを作り、地域を盛り上げる
山口市でも「移住者交流会」や「地域おこし協力隊」といった制度が用意されており、外から戻った人の挑戦を後押ししています。移住を体験・支援制度(山口市移住支援情報サイト すむ住む山口)


移住検討者へのアドバイス
Uターンをはじめとする「移住」はライフスタイルの大きな転換であり、成功するかどうかは事前の準備に左右されるといっても過言ではありません。自治体の支援制度や地域の雇用状況、コミュニティとの関わり方など、確認しておくべき要素は多岐にわたります。以下に、特に押さえておきたい実務的なポイントを整理しました!
- 支援制度を調べる
山口市をはじめ、多くの自治体で「移住支援金」や「空き家バンク」が整備されています。まずは公式サイトをチェックしましょう! - 実際に現地に足を運ぶ
観光ではなく、暮らす視点で「スーパー・病院・交通手段」を確認するのがおすすめ! - コミュニティに入ってみる
移住前から地域のイベントに参加すると、移住後の人間関係づくりがスムーズに!
私は特に「実際に現地に足を運ぶ」ことは、移住してから本当に「支援を受けてよかった!」と思えるポイントです。その時に、山口市の移住支援の一つである「山口市UJIターン訪問補助金制度」を活用したことで、交通費などの負担も軽減でき慎重に移住先の検討ができました!
Uターン移住で得られる暮らしの安心感

Uターン移住は、都会の便利さと引き換えに「地域とのつながり」「暮らしの安心感」「新しいナリワイ」を手に入れる選択肢です。
私自身はIターンですが、移住してから阿東を離れるたびに「ここは自分にとって第二のふるさとだ」と感じるようになりました。Uターンの人であれば、その想いはさらに深いでしょう。
あるUターン移住者の友人はこう話してくれました。
「親には最初『なんで帰ってきたの?都会の方が便利なのに』と言われたけど、離れて初めてわかった地元の良さがあった。戻ってきたこと自体が、自分にも家族にもプラスだった」
移住を考える皆さんにとって、「ふるさとに帰る」という選択肢は、人生を豊かにする大きな一歩になるかもしれません!