地域の医療・介護サービスなどの現状と課題
こんにちは、まつきおです。今年1月に東京に暮らす祖母が米寿(88歳)となり、「いくつになっても元気でいてね!」とお祝いの手紙を送りました。みなさんのおじいちゃん、おばあちゃんは今年何歳になりますか?また元気に暮らしていますか?
「人生百年時代」な日本、WHO(世界保健機関)が発表した2024年度の世界保健統計では、なななんと!日本の平均寿命は男性が81歳、女性は87歳と世界トップの長寿国であり、今後さらに平均寿命は延びるといわれています。もしかしたら、平均年齢90歳以上になるのも、そう遠くない話かもしれません…!
山口市阿東地域も例外ではありません。高齢化率約60パーセント超!がつく高齢化社会です。「70歳はまだまだ若手」といわれ、祖母と同じ88歳の地域のお母さんがかわいいモンペを履いて畑仕事をしている姿をみかけると、「本当にこの人は世間一般でいわれている高齢者?」と目を疑ってしまうほどです。超!高齢化社会の阿東地域ではこれが日常であり、ひと昔前より人生を長く生きられることは嬉しい反面、その日常の中にある地域の課題もあります。
「少子高齢化」「医療・介護ニーズの負担増加」「高齢者の社会的孤立と地域コミュニティの弱体化」など、東京に暮らしていた時はどこか「他人事」としてとらえていたことが、阿東地域に暮らすようになってからは、わたしも「高齢者」になった時に安心・安全に暮らせるのだろうか?と「自分事」のように向き合うようになりました。
この記事では阿東地域での超!高齢化社会対策の取り組みのひとつを、実例を交えてご紹介します!
高齢化社会における介護・医療サービスの地域課題って?
平均寿命が長くなった理由のひとつであろう、「医学の進歩」はかかせません。わたしが東京に暮らしていた頃は、駅の近くにはさまざまな科が併設されている総合病院などが大なり小なりありましたし、むしろ「どの病院にいこう?」と選択肢できるぐらい件数がありました。
阿東地域へ引っ越してびっくりしたことのひとつは、医療機関がめちゃくちゃ少ないことです。しかも精密検査や入院となると山口市街の大きな病院へ通院しなくてはいけません。婦人科にかかりたくても阿東地域にはないため、市街へでる必要があります。婦人科にかかるために車を40分は走らせないといけないと知った時は、東京暮らしと比べてその不便さにひえ~!とたまげてしまいました。
このように地方における介護・医療サービスの課題は多岐にわたります。まず、人口減少と高齢化が深刻であり、若年層の流出や高齢者の増加が進行しています。これにより、介護や医療ニーズが増加している一方で、それに対応する専門職の確保や適切な施設の整備が追いつかない状況があります。
さらに、医療・介護人材の不足も大きな課題です。地方では都市部に比べて医師や看護師、介護士の確保が難しく、これが医療・介護サービスの質やアクセスに影響を与えています。地域ごとに医療・介護施設の不均衡も見られ、一部の地域ではサービスが充実している一方で、他の地域ではアクセスの不便さやサービスの質の格差が問題視されています。
また、情報技術の普及が進んでいない地方では、電子カルテや遠隔診療などの先進的な医療サービスが利用しにくいという問題もあります。さらに、地方自治体の財政的な制約も医療・介護サービスの充実に影響を与えており、必要な施策や設備を整備するための財源確保が難しい場合があります。
超!高齢化社会である阿東地域では、おじいちゃん・おばあちゃんの高齢者の方の一人暮らし世帯は多いです。もし娘・息子さんといった家族と同居していたとしても、日中仕事にでているために一日の長い時間をひとりで過ごすことがほとんど…。「家族に心配や迷惑をかけたくない」「病気や怪我をして病院や介護施設に入らなくてはいけなくなるのは避けたい、できれは住み慣れた家で暮らしたい」など、いつまでも元気に暮らしたい地域の方の切実な声を聞くことがあります。
病気や怪我になる前に防ぐ!フレイル予防の重要性
フレイル予防の重要性は、高齢者の方が健康で自立した生活を送るために欠かせない取り組みです。フレイル(虚弱)とは、身体の弱さや機能の低下が進んでいる状態で、これが進むと病気やけがに対する抵抗力が弱まります。その結果、日常生活での活動が制限されたり、急に介護が必要になるリスクが高まります。
フレイルを予防することで、高齢者の方の健康寿命を延ばし、自立した生活を支援します。定期的な運動や栄養のバランスの取れた食事、そして健康管理の習慣化が、フレイル予防の基本です。また、早期にフレイルの兆候を見極めて、適切な対策を行うことで、健康状態を維持しやすくなります。
フレイル予防は単なる病気や怪我の予防だけでなく、高齢者の方が自分の生活をコントロールし、自由に行動できるようにするための重要な取り組みです。
阿東地域で暮らす中でよく耳にする話は「転んで骨折をして入院!数か月後に無事に退院したけれど、また転ぶのが怖くて外出する機会が減ってしまった(または家族に気を付けるようにいわれたことが気になって、また迷惑をかけてはいけない…と外出を遠慮するようになってしまった)」という話です。それまでは元気で暮らせていたはずなのに病気や怪我をきっかけに、心身共に弱くなってしまう傾向があるように感じます。年齢とともに身体能力・機能低下は誰もが避けられないこと。だからこそ、病気や怪我になる前に予防することは、これから加速する高齢社会に必要な術であるとわたしは感じています。
つい数週間前の話ですが…いつもシャキシャキ元気で週3回飲食店で皿洗いのパートをしているさっちゃん(仮名)が、「庭の草刈りの時に腰をぎっくりしちゃった!」と車いすにのってトイトイのミニスーパーへ買い物にいらっしゃいました。「さっちゃんでもぎっくり腰になることもあるんだなぁ」なんて思っていた数日後…太もものしびれがひどいため別の病院で検査しなおしたところ、なんと圧迫骨折であることが判明!発見が遅れた原因は阿東地域内の診療所はレントゲンが故障したままで、精密検査ができていなかったからでした。がーん!
実例:いくつになっても輝く!いきいき百歳体操
「いきいき百歳体操」は、高齢者向けの健康増進プログラムです。この体操は、筋力や柔軟性を向上させ、日常生活での活動能力を維持することを目的としています。バランス感覚を鍛える動作や、足腰や体幹を強化する運動が含まれており、転倒予防にも効果的です。通常、専門の指導者がいるグループで行われ、定期的に続けることで健康維持に役立ちます。楽しみながら行うことができ、社交性も促進されるので、高齢者の健康をサポートする大切な取り組みです。
2024年5月現在、阿東地域内では10グループがこのいきいき百歳体操を実施しています。その10グループの内のひとつが、阿東地福地域にあるほほえみの郷トイトイの交流スペースで毎週水・金曜日に行われています。
いきいき百歳体操では体の主に足腰の筋力を鍛えますが、参加者のみなさんが一番鍛えているのは「口」かもしれません。え?なぜ口かって?今日のお天気や体調の話からはじまり、高齢者の方だと思って侮ることなかれ!最新の流行についての話題についてもチェック済みで、WBCで大谷選手が大活躍したときには、交流スペースのテレビでの観戦に熱中して体操を忘れる勢いで話に花が咲いたことも!フレイル予防、高齢者の方の健康を支援する取り組みの役割だけでなく、地域の高齢者の方の交流の機会としての役割も担っています。今後も加速する超!高齢化社会。コミュニティの中で支え合い、心身ともに健康に年を重ね、いつまでもいきいき楽しく暮らし続けられるよう今後も継続していきたい取り組みのひとつです!
まとめ
「大抵の怪我はカットバン(ばんそうこう)貼っておけば治るけ」と教えてくれた地域の方は、昔から病気や怪我の時には病院にかかるという意識があまりなく、自然治癒の力を信じていたのか、それとも病院が少ないからなるべくかからなくてもいいように健康管理に気を付けていたのか、はたまた単に病院嫌いだったのか…その理由はわかりません。「医療が進んでいる」のは確かな事実ですが、こうして阿東地域に暮らしていると、都市と地方の医療・介護サービスの格差は明らかです。今後この地域課題が解決へ向かうのかはわかりませんが「何歳になっても長生きで健康に」いるために、日々の暮らしで予防・心掛けることは、田舎暮らしでは重要なことだとわたしは気づきました。
もし祖母と同じ88歳になった時、「いつまでもいきいき楽しく暮らせる」阿東地域であったらいいな~と感じるとともに、「りんごで医者いらず」ならば阿東地域の名産である徳佐りんごを食べる健康法を考えてみるのもありかも?!、と超!から超超!高齢化社会になりそうな阿東地域でどのように健康的に暮らそうか今後もその対策を考えていきたい、まつきおでした。