少子高齢化社会の現実と解決策
1980年~2020年の間に変化してきた「家族」
さかのぼること40年以上前、1980年頃には「三世代家族:祖父母、親、子どもが一緒に同居して暮らす家族」が全世帯の約20%を占めていました。これが2020年代頃には約8%とかなり減少し、その一方で「核家族:祖父母やその他の親族と同居せず、夫婦と未婚の子どもが一緒に暮らす家族」が約54%と半数以上を占めるようになりました。一体この40年あまりの間に、日本の家族のかたちはどうしてかわってしまったのでしょうか?
核家族が増える背景にあるものとは?
サザエさん一家のような三世代家族の減少、クレヨンしんちゃん家のような核家族の増加につながった原因ってなんだろう?と考えながら、1989年(平成元年)生まれのわたしの昔を思い出してみると…子どもの頃はサザエさんもクレヨンしんちゃんもテレビで楽しく観ていましたが、祖父母とは別に暮らしていましたし、学校の同級生も「おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らしているよ~!」という友達は少なかったです。
農山村地域である阿東で、人生の先輩である70~80代の女性に子育てしていた頃について聞くと「昔は子どもが生まれたらおばあちゃんに面倒をみてもらって、若い自分は農家の手伝いだったり、働きにでていくのが当たり前だったの」「仕事や家事なんかも、おばあちゃんがご飯をつくって、おじいちゃんが家業の農家を手伝うのが普通だったよ」と話を聞くことがほとんどです。「あんた(わたし)たちの世代やら今の人たちは、仕事も育児も夫婦ふたりきりでやらなきゃいけない人が多いから、さぞかし大変と思うよ」と、まだ花嫁修業中のわたしに、将来の心配をしてくれるのですから、ありがたいものです。
この三世代家族から核家族が主流となった背景にはさまざまな時代の変化があるとされています。
①都市化の進展
戦後の高度経済成長期に、農村から都市への人口移動が進み、若者が都市で働くようになりました。これにより、家族が分散し、親世代と別居する家庭が増えました。
②住宅事情の変化
都市部での住宅事情が限られていることや、核家族向けの住宅の普及により、三世代での同居が難しくなりました。
②価値観の変化
家族の形態や親との同居に対する価値観が変わり、若い夫婦が独立した生活を選ぶ傾向が強まりました。女性の社会進出や、育児・家事の分担の変化も影響しています。
参考文献:総務省統計局 核家族世帯の数
https://www.stat.go.jp/library/faq/faq02/faq02b02.html
加速する核家族化と少子高齢化
こうして全世帯数の半数を占めるようになった核家族ですが、少子高齢化もこれに比例するように増えています。というのも…
①核家族では子育てが大変?!夫婦ふたりで担う子育て
核家族は、夫婦と子供だけの家族構成のため、子育て支援や助けが不足しがちといわれています。それまでの三世代家族では、おじいちゃん、おばあちゃんが子育てや家事を手伝うことが一般的でしたが、核家族化によりそのサポートが減ってしまうため、夫婦ふたりでも子育ての負担が大きくなります。これが子どもを持つことへの心理的・経済的負担を高め、少子化を促進する要因といわれています。
②親から離れて暮らす子ども、年を重ねて高齢になっていく親
「長寿国日本」である高齢化社会では、高齢者が増えて家族の介護負担が大きくなります。核家族化の進行により、親と離れて暮らすケースが増え、介護を担う人が限られるため、介護の社会的負担が増しています。さらに、孤立する高齢者が増加し、地域社会や福祉制度への依存度も高まっています。
こども1人あたりを成人まで育てるのに、よく2000万から3000万円かかると聞いたことがあります。わたしの両親は共働きで、兄弟はわたしを含め3人いる典型的な核家族です。祖父母は同じ東京都内でも別々に暮らしていましたが、わたしたち兄弟が病気や怪我をしたりすれば、幸いにもサポートしにいける場所に住んでいて、何かのときには支えてくれたので、両親もやってこれたのかもしれません。それを考えると本当にここまで立派に育ててくれたことには感謝しかありません…!
阿東地域の高校は徳佐にある山口高等学校(徳佐分校)のみで、ほとんどの学生が進学先として阿東地域外の高校を選択します。そのため、中学校を卒業すると自然と寮生活(または一人暮らし)で親と離れて暮らす子どもが多いようです。大学もないため、進学・就職・暮らしも自然と地域外となる傾向にあります。また、医療技術や生活水準の向上により平均寿命が伸びていることもあり、地域に若年層がおらず高齢化が進んでいくことになってしまうのです…!
③女性の社会進出、結婚年齢の上昇
1. 女性の社会進出
女性の社会進出は、女性が教育を受け、職業を持ち、経済的に自立することを意味します。特に1970年代以降、女性の就業機会が増え、現在では多くの女性が労働市場で活躍しています。日本では、1986年の「男女雇用機会均等法」の施行や、育児休業制度の整備が、女性の社会進出を支える重要な政策となりました。これにより、女性がキャリアを形成し、仕事で活躍することが一般的になりました。また、共働き家庭が増えたことで、家庭内での役割分担や働き方も大きく変化しています。
2. 女性の晩婚化
1990年代に女性の平均初婚年齢は約25歳でしたが、2020年代では30歳を超えるケースが多くなっています。この晩婚化の背景には、女性のキャリア志向の高まりが影響しています。多くの女性が教育や職業に重点を置き、経済的自立を優先するようになりました。加えて、結婚や子育てに対する価値観の多様化も、晩婚化を後押ししています。
女性の社会進出と晩婚化は密接に関連しており、女性が自分のキャリアやライフスタイルを自由に選択できる時代が到来しています。しかし、この変化は一方で少子化の要因ともなっており、社会全体での対応が求められています。
家の大黒柱であるお父さんが家族を支えるために仕事へ出かけ、子育てや家の守をする(専業主婦)のがお母さんというライフスタイルは時代と共に変化しました。女性の社会進出により、男性と同じようにキャリアを追求する「キャリアウーマン」、夫婦間で子育てに対して柔軟に対応するために、男性が子育てをする「主夫」など、これから先の暮らしもまた、少子高齢化社会が加速すると時代と共に変化していくのかもしれません。どうなる?!日本の未来!!
まとめ
前編では少子高齢化社会となった背景に迫りました。少子高齢化の背景にあるさまざまな要因を調べるうちに、わたし自身も30歳には結婚するのかな~?どうなんだろう?なんて思っていたわけですが、35歳になっても「まだ家庭にはいって、子育てして」というイメージよりも「汗水ながして、働いて」というイメージの方がつよい花嫁修業中のひとりのままです。それは両親が共働きであったので、男女関係なく社会にでて社会人経験を積むことがとても当たり前に思えるからかもしれません。
後編では地域における少子高齢化対策として、実際にどのような取り組みがなされているのかに迫ります!ぜひ、あわせてお読みください!