持続可能なまちづくりを目指す「小さな拠点」ほほえみの郷トイトイ

 

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地福地域の「小さな拠点」ほほえみの郷トイトイ

 こんにちは、まつきおです!「いくつになっても元気に笑顔で暮らしたい」と、都心・田舎暮らし関係なく、日々暮らすわたしたち。阿東のような農山村地域では、都会とは違って不便なことも多く、多くの場面で住民同士の支え合いがかかせません。また、人口減少・少子高齢化が著しい地方では、地域の活力を維持し、健康維持や介護予防、地域拠点間の移動支援、多世代交流の仕組みを整えることがとっても重要です!

 都会にいた頃は、公共交通機関が充実しているので、車に乗ることはあまりありませんでした。ちょっとした距離でも「移動の基本=車」になってから、歩くといった体を動かしての移動が少なくなりました。その結果、体重は3年間の間で5kg増え、50m走るのもぜーぜー息切れするようになってしまいました!がーん!35歳の体でこれだけ鈍るのであれば、高齢者の方はもっと動かさないわけで…運動不足から怪我や病気になるリスクが高くなるのも納得できますね。

 地福地域にある「ほほえみの郷トイトイ」は、そうした地域課題に応えるために生まれた、小さな地域拠点です。ここでは、定期的な健康づくりの活動をはじめ、地域の人々が気軽に立ち寄って、交流できる場としての役割を果たしています。さらに、個人や団体がさまざまな目的で活用できるスペースとしても開かれており、地域資源を活かした新たな取り組みが生まれる場にもなっています。

 そんな小さな拠点ほほえみの郷トイトイ、単なる「集いの場」ではなく、健康・福祉・地域経済の視点から持続可能な地域づくりを支える場所として、トイトイがどのような役割を果たしているのか、その取り組みのひとつをこの記事では紹介します。

いきいき百歳体操でカラダもココロもリフレッシュ!フレイル予防と孤立化・認知症予防

 トイトイでは健康事業の一環として、毎週水曜日と金曜日に「いきいき百歳体操」を実施し、住民の健康づくりをサポートしています。「100歳まで笑って元気に暮らし続けるカラダづくり」を目標に掲げ、高齢者を中心に無理なく続けられる運動を通じて、フレイルを予防し、健康寿命を延ばすことが目的です。

 さらに、単なる体操の場にとどまらず、参加者同士の交流の機会ともなっています。「毎週水曜日と金曜日は〇〇さんたちに会える日」と楽しみにして、手作りのお菓子やお料理をもってきて振る舞う方もいれば、「回転すしにいったことがないからいってみたいね!」と話した話題から実際に、体操の日以外に参加者で外出をして遊びに行く方もいたり…。

 ただ「体操に参加する方たち」ではなく、拠点の中のひとつの「コミュニティ」となっています。こうして健康づくりと社会的つながりの維持が両立することで、介護予防につながり、結果として地域全体の医療・福祉コストの削減にも貢献していくことが期待されます。

立ち寄れば誰かに会える、地域のさまざまな声が集まる場所

 小さな拠点はふらっと立ち寄れる憩いの場としても機能しています。「ちょっとお散歩のついでによってみた」「今日はこんなことがあったから、ちょっと聞いて!」とお茶を飲みながらおしゃべりを楽しんだり、一緒に昼食をとったりすることで、地域内の人と人とのつながりが自然と生まれます。特に一人暮らしの高齢者が多いため、「ひとりではなかなか出ない」といった外出の機会が限られている方にとって、こうした場所は孤立を防ぐ大切な役割を果たしています。

 また、「地域のことでどうしたらいいのかわからないから、相談したい」と地域の悩み事が持ち込まれることもあります。一個人から団体規模まで相談事の大きさはさまざま。家族と一緒に暮らしていても、家族だからこそいえない相談事もあったり…。

 ふとお買い物中の会話から「実はハチの巣が家の屋根にできて困ってて、でもどうしたらいいかわからなくてね」と悩み事がポロリ。トイトイスタッフの中でハチの巣駆除ができる人へつないで、無事問題解決!というようなケースは少なくありません。さまざまな人が関わりをもつ地域拠点だからこそ、地域の困りごとにも解決できそうな人脈へつないでトイトイ経由で依頼し解決することができます。

地域の拠点をつなぐ実証実験「助さん・格さん」号

 山口市では、障がいのある方や高齢者の日常生活や社会活動を支援するため、タクシー料金の一部を助成する「タクシー利用券」が交付されています。病院通いの多い高齢者にとっては、毎週の通院にバンバン使っていきたいところですが、阿東内で利用できるタクシー会社は徳佐・地福のみで、タクシー運転手さんも数名で営業していることもあり、タクシー券ではまかなえなかったり、利用がかぶると待たなくてはならないデメリットも…!さらに、タクシー事業者自体も需要が高いですが、高齢化のためこれも数年内に担い手がいなければなくなるサービスのひとつかもしれません。

 トイトイでは令和6年春頃から始まった、トヨタモビリティ基金の地域の移動についての実証実験があります。「助さん・格さん」号という愛称がつけられたEV車(電気自動車)で地域拠点と拠点をつないで、地域の移動を支えています。まだ利用範囲は各地域拠点(ほほえみの郷トイトイ・JR各駅・病院や郵便局などの特定施設など)で阿東全域ではありませんが、現在は地福・篠生・生雲の3地域を対象に稼働しており、利用者数もじわじわと増加しています。利用はなんと、無料です!
 
 実証開始頃は「タクシーを今まで利用していたので無料だと気兼ねしてしまう」「まだなんとか歩けるから、ちょっとの移動に利用させてもらうのも迷惑になるかも」なんて声もありましたが、利用者の「乗ってみて快適だった!電気自動車だからうるさくない!」「ドライバーさんとの会話が楽しかった!」といった口コミが広がって、積極的に利用される方が増えています。もちろん地域拠点の移動を支援する目的もそうですが、口コミのように車内でドライバーとの会話を楽しむなど、人と人との交流の機会としての役割もはたしていますね!
 

小さな拠点からさまざまな形でつながる・ひろがる笑顔の輪

 トイトイのような拠点があることで、地域に住む人々が「自分の居場所」と感じられる場が生まれ、暮らしの中に安心感とつながりが生まれます。そして、その場をどう活用するか、どのような新しい取り組みを生み出せるかは、地域の皆で考えていくべき課題でもあります。地域に根ざした活動の場として、トイトイは今後も進化し続けるでしょう。
 持続可能な地域づくりを目指し、日々新たな試みに取り組み実践していく場として、これからも地域とともに地域の将来のため活躍してくれることでしょう!

筆者(サイト運営者)

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