[地域の小さな拠点」ほほえみの郷トイトイ誕生秘話 ~プロジェクト発足から資金集め~

こんにちは、山口県山口市阿東で地域おこし協力隊をしている佐伯です。私が住む地福地区ではかつてスーパーはありましたが撤退を余儀なくされました。そんな時に地域の一部住民は阿東・地福の状態を危惧し、新たなスーパーを作るようにプロジェクトを発足しました。最終的にできたのがトイトイという法人が運営しているスーパーなのですが、そのときの中心メンバーである高田さんにトイトイの誕生までの秘話についてインタビューしました。田舎で事業を興す上で必要なことや難しいところがわかると思います。ぜひ一読ください。

この記事は中編です。前編を読んでない人は下の記事を先に読んでおくことをおすすめします。

目次

地元スーパーの撤退をうけて

かつてAコープという農協のスーパーがありましたが、売り上げが悪く撤退しました。そこからマリンというスーパーがAコープの跡地に入りましたが、やはり売り上げが悪くマリンもすぐに撤退することになりました。地福の多くは高齢者で中には車も運転できない人もいます。阿東地域にある地域づくり協議会という小さな各団体の長が集まる会で、地福にスーパーは必要かアンケートを取ったところ満場一致でスーパーは必要だということになりました。そこで地域づくり協議会は地福でスーパーをしてくれる企業を探しましたが、業績が出ない地域でスーパーをやりたがる企業なんかありません。唯一コープがやってくれそうな雰囲気がありましたが、土地・建物の権利を持っているJAがコープから賃貸料を取るというと、その話は白紙となりました。そこから地域づくり協議会も動くことはなく2年が経ちました。何も動かない地域づくり協議会を見て高田さんを含めた少人数のメンバーが立ち上がりました。

スーパーの経営は素人、新たに興すビジネス

高田さんたちはスーパーの経営については素人でした。大手のスーパーが撤退する中、素人の集団がスーパーを作っても上手くいかないとわかっていました。それに利益がでないとしてもスーパーを作ることが目的だとしたら行政から補助金はおりません。そこで思いついたのが、地域のコミュニティの拠点を作ることでした。そこにちょっとしたスーパーみたく買い物できるところがあるという体にしました。コミュニティの拠点を作ろうと思ったのには他に理由があり、1つ目は普通のスーパーをただ作るだけのビジネスでは需要がないということ。住民が外に出なくなり人と会う機会が減ったことで思いつきました。2つ目は阿東などの人口の推移を見たり、日本のビジネスの傾向を見たときに当時ソーシャルビジネスという言葉はありませんでしたが、阿東の問題を解決するためにそういう場が必要になると思いついたそうです。そうして高田さんは実行に移して1か月で地域のコミュニティの拠点を作りました。

プロジェクトに対する住民の反応

1か月でできたコミュニティの拠点ですが簡単にできたわけではなく、かなり苦労がありました。まず作る上で開店資金を集めないといけません。そのため各自治会長に声かけしてもらって、もらえる人から2000円ずつ寄付してもらうようにしました。この時この話を聞いた人たちはただのスーパーを作ってもらえると思ってたそうです。

コミュニティの拠点を作る際、基本となる案を高田さんは考えました。ですがそのままだと地域に受け入れてもらえるかわからなかったので地域で顔の利く人に案を調整してもらい、その人から地域の人に伝えてもらうことにしました。地域の長に代弁してもらうことによって住民の賛成を得ようとしました。

プロジェクトに対して地域の壁

ここで壁に当たりました。各自治会長からこの件に対してお叱りを受けたのです。理由を聞いてみると寄付をしてということに対し、お金を集めてこいと言われたように感じたそうです。あくまで寄付だと再度自治会長たちに説明する必要があり、地域の長にも一緒に来てもらう必要がありました。ですが来るのを渋るのです。もうそこそこの高齢で恥をかきたくないのです。高田さんもその気持ちはわかるので諦めました。他のメンバーについてきてもらうことも考えましたが、他のメンバーは仕事の掛け持ちで忙しかったので、結局ほとんど一人で叱られに行きました。叱られるのは辛かったですが、その中でいいこともありました。地域のためにしてくれるんだから協力しないとと言う声があり、応援してくれる人たちに励まされることもありました。

トイトイ誕生に向けて、つづく

こうしてコミュニティの拠点を作るために高田さんは地域を奔走しました。ここから地域の同意を得てトイトイ誕生するまでの話は後編にまとめています。この記事がおもしろいとおもったらぜひ後編も読んでください。

筆者(サイト運営者)

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