[地域の小さな拠点」ほほえみの郷トイトイ誕生秘話 ~資金集めからトイトイ誕生~

こんにちは、山口県山口市阿東で地域おこし協力隊をしている佐伯です。私が住む地福地区にはトイトイというNPO法人が運営しているスーパーがあります。当時は創立メンバー全員がスーパーの経営ノウハウが無い上、さらには田舎で事業を興すのにかなり苦労があったそうです。トイトイ創立の中心メンバーである高田さんにトイトイの誕生までの秘話についてインタビューしました。田舎で事業を興す上で必要なことや難しいところがわかると思います。ぜひ一読ください。

この記事は後編です。前編、中編を読んでない人は下の記事を先に読んでおくことをおすすめします。

目次

地域の人を説得できる伝え方

中編にありますがオープンに向けて寄付を募りましたが、各自治会長に上手く伝わっておらず怒らせてしまう事態になりました。そこでプレオープンの日を先に決めておいてお金が集まらなくても実行する覚悟を決めました。寄付も理解ができれば払ってくれたらいいと伝えました。かなり妥協しましたが、それでもできるだけ理解してもらえるよう伝える努力はしました。地域の人にトイトイを作るこの事業は10年後以降の阿東および地福のための第一歩であると、人口減少や高齢化により廃れていく地福をトイトイを中心に息子や孫の代にいいところだねと言われるような町づくりをすると伝えました。自分たちのためという考え方から考える対象が息子や孫のことになると全員考えてくれるようになりました。それでも伝わらない人にはこれから年取った先で軽トラに乗れなくなった時、近くで買い物できるところがないと困らないかと問いました。こうやって説明していった結果、最終的には90%以上から寄付してもらうことができました。世帯数でいえば600世帯くらいから寄付を集めることができました、

トイトイが継続できた理由、地域の人のやさしさ

こうして無事にオープンできたトイトイですが、周りの人たちは他のスーパーが撤退したのを知っているので当然もたないと思っていました。ですがトイトイは3年以上経っても事業を続けることができ、その間マイナスな発言を聞くこともありませんでした。それには理由があって地域の協力的なお母さんたちがトイトイの邪魔をしないようにと地域の人たちに対し陰ながら緘口令を敷いてくれていたのです。お母さんたちも続くとは思っていなかったのですが、見守ってくれていました。3年以上続けることによって批判の声は自然と減っていきました。マイナスな意見は完全に無くなったわけではなく適当なことを言われることもありました。中にはスーパーと家財道具を売っているようなお店を足したものを作ってくれという無茶な意見もありました。そういうときは貴重な意見をありがとうと言いながら流すこともありました。ただマイナスな意見もありながらも確実に住民にとってプラスになってきている、トイトイの存在に対して前向きになっているのがわかったので継続していくことができました。

新しいものを地域に根付かせる方法

現在はトイトイは地域に根付き欠かせないものとなりましたが、これでも寄付を集めるタイミングでは寄付を滞納する人が多く、寄付が集まるかあやしいこともありました。その時は反対しづらい言い方で説得しました。地域のための場所だと訴え、みんな賛成しているという空気感を作りました。こういうときに何とか理由をつけて合意形成することもできますが、スタートで100%賛成だと後で躓いたときに「ほら見たことか」と絶対に言ってくる人がでてきます。100%賛成であっても住民から見て事業がマイナスの方向に進んでいく様を見せるのはよくありません。だからトイトイを作るときも寄付はしてくれる人だけしてと訴え、何とかして賛成してもらうということは諦めました。オープンして躓くことがあっても、徐々に成長する様を見せることにより住民の意識をプラスに持っていくことに成功しました。地域にとってプラスであるということを長く見せることで地域に根付くことができます。

コミュニティを作ろうと思ったきっかけ

現在のビジネスの形態に結び付いたきっかけとして、そこに人が住んでいるのだから絶対に需要があると考えました。ただ前編、中編に記述されてますがビジネス目的のスーパーだと儲からないことがわかっています。そのため普通のビジネスから考えを改める必要があります。今の阿東・地福に何が必要か考えたとき、スーパーがなくなってから住民と会って話す機会が減ったと感じたことからコミュニティの拠点を作ろうと思いました。そういう事業が増えてきたこともあり参考にしました。阿東の人口の推移や日本のビジネスの傾向を見ていたら今後コミュニティを展開するようなビジネスが来ると考えてはいました。

トイトイ誕生、その後

高田さんの発想でコミュニティの拠点として生まれたトイトイですが、現在は地域の方の生活を支える存在になっています。また100歳体操を行っていたり、送迎サービスを実証実験していたりと、高齢者のコミュニティの機会を増やすべく進行形で努力しています。

トイトイがオープンしてからもさまざまなエピソードはありますが、この記事では誕生までで置いときます。気になる方は別の記事をご覧ください。

筆者(サイト運営者)

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