ソーシャルビジネスの先駆け!地域の「小さな拠点」ほほえみの郷トイトイ

 こんにちは、まつきおです。わたしが地域おこし協力隊として所属する中間支援団体「特定非営利活動法人ほほえみの郷トイトイ」が地福地域にあり、地域の小さな拠点としてさまざまな役割を担っています。
 このトイトイが誕生するまでにはたくさんの困難がありました…。

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ただのスーパーではなく、地域の笑顔と声が集まる拠点「トイトイ」

 小さな地域拠点「トイトイ」が誕生するまでの道は決して平坦ではありませんでした。当初、スーパー撤退を受けて地域でさまざまな議論がなされましたが、話が進展せず…。「スーパーがなくなった」ことに対して「スーパーを新たにつくる」というように対処療法的に解決しようとしても、少子高齢化や人口減少によりいずれ継続が難しくなり、根本的な地域課題の解決にならないためです。

 ちょうど、山口市に合併が行われた時期で、「これから行政を頼るのも難しいのでは…」という声もあがり、「地域のことは地域がする」!と、話が少しずつすすみはじめていったのです。

地域のビジョン「誰もが笑顔で安心して暮らせる地域をつくろう」を掲げて

 取り組みのはじめに行われたのは「どんな地域にしたいのか」というビジョンを、地域の方からひとりひとり声を拾っていくことでした。そうして各団体や地域の高齢者の方などから集まったのは「誰もが笑顔で安心して暮らし続けられる地域をつくろう」というビジョンです。高齢者の方の中には、阿東で暮らし続けたいができないという方もいて、そうした願いを支えていくことが、将来阿東で暮らす人たちの希望にもなるのではないか、と。

 集まったビジョンをもとに「地域の絆でつくる、笑顔あふれる地域づくりを」をキャッチフレーズに、「誰もが10年後、20年後も誰もが笑顔で暮らせる地域づくり」をほほえみの郷トイトイ構想として掲げ、このビジョンをもとに地域づくりをすすめていくため走り始めました。

小さな地域拠点「ほほえみの郷トイトイ」誕生

 地域のよりどころのひとつであったスーパーは、お買い物ができる場所としてだけではなく、地域の方が住民同士で交流をする場所であったり、困りごとがあったときに相談できる場所としての役割を担っていました。スーパーで買い物ができなくなることはもちろん困りごとの一つではありますが、それよりも、その役割を担う場所がなくなることが地域にとってなくてはならないものと考えました。そのため、撤退したスーパーの跡地には、スーパーの機能を備えた「小さな地域拠点」としてほほえみの郷トイトイが誕生することとなりました。

 高齢者の方々、団塊の世代、子育て世代さまざまな世代の方々が抱える不安を、ともに地域で共有し知恵を出し合いながら、協働により解決していくことで、誰もが笑顔で安心して暮らせる地域づくりをすすめていけるようにしました。拠点に集まるニーズや不安は、ビジネスの種となります。地域住民が主体となってビジネスを始め、失いかけていた誇りと自信を取り戻そう、とトイトイが誕生し、こうして事業が始まりました。

トイトイにいけば誰かに会える!地域のこころの拠りどころ、トイトイ

 設立当初、新しいことに敏感な地域の方の中には「大手スーパーでさえ撤退したんだから、もしかしたらこのトイトイもうまくいかないかもしれない」と、心配半分・反対半分な気持ちでその行方を見守っていた方もいたそうです。しかし、こうしてトイトイ誕生から11年(なんと…令和7年3月27日で12年目へ突入!)経ちましたが、地域の方から「トイトイがなきゃ困るよ」「トイトイがあるから安心」といっていただけるような小さな拠点として、地域を支え、そして地域の声援に支えられています。

社会課題解決を目的とした事業、ソーシャルビジネスの先駆けとして

 この過去10年で、日本におけるソーシャルビジネスの認知度は大幅に向上しました。具体的には、ソーシャルビジネスを手がける企業数はなんと!約25倍に増加しています。この成長は、社会的課題の解決に対する関心の高まりや、SDGs(持続可能な開発目標)の普及などが影響していると考えられます。

 11年前、地域唯一のスーパー撤退を受けて、地域が主体となって立ち上がった「ほほえみの郷トイトイ」。今では当たり前に近い「ソーシャルビジネス」の先駆けだったともいえますね!これからまだ加速する社会課題。そう遠くない未来に人口が現在の半分になるといわれている阿東ですが、「誰もが笑顔で安心して暮らし続けられる地域をつくろう」というビジョンをもとに地域づくりをすすめて、たとえ人口が減ったとしても幸せに暮らしていけるような地域になるよう、ソーシャルビジネスをしながら地域を支える「小さな拠点」として活躍していくことでしょう!

筆者(サイト運営者)

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