こんにちは、まつきおです!阿東地域の小さな拠点「ほほえみの郷トイトイ」、この拠点の誕生秘話についてご紹介した記事はもう読まれましたか?



地域拠点として立ち上がった後も、地域の声に寄り添ってきたトイトイはさまざまな事業に取り組んできました。例えば、地域の「困った!」「こうありたい!」の声に寄り添い、お買い物支援・見守りサービスを担う移動販売車「トイトイ号」、地域の手作りの味で支える「トイトイ工房」、地域の声と人が集う「ミニスーパートイトイ」など、現在も地域の拠点として活躍しています。
トイトイ立ち上げたその後、拠点に「交流スペース」が設けられ、そのスペースを活用したさまざまな取り組みの歴史があります!この記事ではその取り組みの歴史を紐解いていきたいと思います。
いきいき百歳体操

平成29年4月から「介護予防事業元気いきいき広場」として市の委託を受けて始まった介護事業で、令和7年5月現在、10名ほどが毎週水曜日・金曜日にトイトイの交流スペースに集まって、楽しくおしゃべり・体操を実施しています。
当時93歳だった利用者の方を、体操の時間にケーキを買ってお祝いをしました。サプライズで利用者の皆さんでハッピーバースデーを歌ってお祝いすると、「生きてきた今まで一番嬉しい誕生日だった」という言葉がでるほど、喜んでいただいたことがあります。ただの介護事業を提供する場所ではなく、地域の交流スペースとして機能していたから、またトイトイという地域の拠点があったからこそ、生まれた喜びなのではないでしょうか?
事業としては正直利益にはならないそうですが、今日まで継続できているのは利用者の方が毎週の体操を楽しみにして、地域の居場所となっているからだと感じています。体操自体は30分ほどで終わりますが、その前後におしゃべりをしたり、お昼ご飯を一緒に囲んでワイワイする姿は本当に楽しそうです!
オレンジカフェ(認知症カフェ)

オレンジカフェは、認知症の方やそのご家族、地域住民、医療・介護の専門職などが気軽に集まり、交流や情報交換を行う場です。認知症に関する理解を深め、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることを支援することを目的として運営されています。トイトイでは平成29年4月から不定期でオレンジカフェを実施した実績があります。
超高齢化が進み、医療機関や介護施設が都心部より少ない阿東。田んぼや畑の世話をするかたわら、老老介護(高齢者が高齢者を介護、具体的には65歳以上の高齢者が配偶者や親など、同じ高齢の家族を介護する状態をいう)をする世帯も多いです。都会とは違って、田舎ならではのご近所さん同士の見守りや支援もあるものの、認知症になると一人暮らしは難しく施設へ入居、老老介護をする家族にも負担が大きくなります。
認知症への理解が比較的寛容な田舎ですが、高齢者の割合が多いため、オレンジカフェのような認知症を深める交流や情報交換が行える場所は、阿東のような超高齢化社会には必要なものといえますね。トイトイでも週数回オレンジカフェを開催していました。また、トイトイの近くにある矢野商店でも「ぶどうの房」というオレンジカフェを毎月23日に実施して、地域の支えの一つになっていますよ!
起業支援としてテストオープンの場(リンパケア、整体)
起業した人の支援の一つとして、テストオープンがお試しでできる交流スペースの活用もしていました。現在は山口市阿知須でリンパケア・セラピストとして開業した藤岡さんも、この交流スペースを活用して開業したひとりです。(なんと藤岡さんのお弟子さんもここトイトイで起業前にテストオープンを経て、開業されています)
藤岡真由美さん(SelfReliance School代表/講師、心と体の癒し空間Lumieamourオーナーセラピスト)
テストオープンを始めた当初は、助成金なし・顧客なしの状態でしたが、徐々に顧客数を増やした結果、令和7年5月現在でも毎週木曜日にトイトイに出張リンパケアを継続してできているのは、テストオープンで開業前に実証できたからかもしれませんね!
また阿東篠生地域で令和4年11月に開業したエネルギー整体えんの長瀬さんも、交流スペースを活用して出張整体を実施されていました。令和7年5月現在は交流スペースでの出張整体は実施はされていませんが、地福地域の方とのつながりを経て企業人のひとりとして地域で活躍していますよ!
地域食堂

この取り組みはJT(日本たばこ産業株式会社)のNPO助成事業として、高齢者の孤立化を防ぐ取り組みとして地域のみんなで食卓を囲み、子供たちから高齢者までお互いが笑顔でコミュニティを形成し交流することを目的に、平成30年8月から実施されました。

子供たちが高齢者に宿題を見てもらったり、昔の遊びを教えてもらったり、一緒に野菜を作ったりしながら交流の輪を広げていけるような場になれば…とはじまりました!よく耳にする「こども食堂」は家庭で孤食になりがちな子や経済的に困難な家庭の子を対象に、子どもの食と居場所作りなどを目的として運営されますが、高齢化の進む阿東地域のような場所では地域のつながりづくり、子どもから大人まで幅広い年齢層が交流できる「地域食堂」として運営がされていました。
田舎ならではですが、この地域食堂で食べられたお米は地域中学校の子どもたちが田植えしたもの!当日の料理の準備なども子どもから大人まで参加し、食を通じて幅広い年齢の方が交流をするきっかけとなりました。
この取り組みは2年継続して行われていましたが、残念ながらコロナにより運営がその後止まったままとなっています。
空き家活用プロジェクト(山大生リノベ部とのコラボレーション)

平成30年にトヨタ財団助成事業を活用して行われた空き家活用プロジェクトです。この取り組みは山大リノベ部とのコラボレーションで実施されました。空き家の下見や地域のおばあちゃんとの意見交換を通じ、山大リノベ部の方が空き家リノベマスタープラン案を提案しそれを形にしたものです。採用されたのは「コワーキングスペース」としての活用案でした。ちなみにリノベーションの一部はワークショップ形式で行い、地域の方に実際に漆喰を塗るなどの体験をしてもらったところも!
完成したコワーキングスペースは、現在もワーケーションや地域団体の集会などで利用されています。ワーケーションで利用した方からは「古い家屋の良さを残しながら、働きやすい環境が整っているので仕事がはかどります!」との声!
コロナ禍を経てリモートワークが一般化した今、コワーキングスペースも普及しましたが、コロナ禍前から空き家の活用としてコワーキングスペースを設けたのは、田舎ながら進んだ取り組みのひとつだと思いませんか?
地域の未来に希望をもたらす新事業たち
持続可能な地域であるために、地域の声を拾う小さな拠点「ほほえみの郷トイトイ」。一口に地域課題といっても、時代の流れとともにその課題の対応の仕方は変化していきます。阿東地域だけでなく、地域課題はどの過疎地でも、早急な対応が求められています。事業としてなど、持続可能な形でアクションを起こすか起こさないかで地域の未来はかわってくるでしょう。
新しい事業を起こすとなると資金が必要となりますが、県や市、財団などの補助金・助成金をうまく活用するとよいでしょう。みなさんの地域ではどのような取り組みがなされていますか?