ほほえみの郷トイトイは地福地域の小さな地域拠点として、地域の安心・安全を見守り支えているのはもちろんのこと、ソーシャルビジネス(少子高齢化などの社会課題解決のために持続可能なビジネスを通じて取り組むこと)によって、よりよい将来の姿を掲げて地域づくり(まちづくり)をすすめています。
1741の市町村があり、その数だけ自治体が存在し同じ社会的課題を解決するべく、ソーシャルビジネスを展開しています。社会的課題の解決を継続してすすめていくためには、ビジネスとして持続可能でなくてはなりません。
トイトイではさまざまな部門で持続可能な事業を行い、社会的課題解決のため地域と共に歩んでいます。ミニスーパー機能を備え地域の交流・情報交換・地域の悩みや困りごと(地域の潜在的ニーズ)が集まる小さな拠点トイトイ、地域のお買い物支援・見守りサービスを担う移動販売車トイトイ号、地域女性がつくる「阿東の母の味」!お惣菜・お弁当を製造するトイトイ工房、などなど。
この記事では立ち上げ当初からトイトイ工房の代表として尽力された徳重富美枝さんを交えて、お話を聞いていきたいと思います!
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徳重さんが営む徳重商店も地域を支える小さな拠点だった

ーー 本日は、地域の声を実際に形にした「トイトイ工房」の立ち上げに携わり、長らく支えてきた徳重さんにお話を伺います。まず、トイトイ工房を始める前に経営されていた「徳重商店」について教えていただけますか?
トイトイから車で8分ほどのJR名草駅の近くで「徳重商店」という個人商店を営んでいました。品ぞろえは文房具や日配品、その当時商店にいらっしゃるお客様のニーズに合わせて少しずつ増やしていったら、いつの間にかいろいろな商品を扱う商店になりました。当時、この地域では川で鮎が釣れたので、鮎釣りの道具なんかも取りそろえていましたよ。
ーー 地域に根ざした超!地域密着型のお店だったんですね!ちなみに徳重さんは料理も上手で、手作りの仕出し弁当の提供もされていたと伺いました。
その当時は人口も多く農業をはじめ仕事で忙しい働き手が多かったり、地域行事や冠婚葬祭などでの依頼もありました。私自身も自分の子供は親に面倒をみてもらって働くぐらい忙しくしていましたし、地域の方も「忙しいけど手作りの料理が食べたい」と思う人もいるだろうな、と感じたからです。ありがたいことに、「おいしい」とお客様に喜ばれていました。ただ、そうした需要がありながらも、商店としてはインターネットの普及や大手スーパーの進出によって、経営は次第に厳しくなっていったんです。
地域の「困った」の声にこたえて、「地域のために」アクションをおこした

ーー そんな時代の変化の中で、どのようなきっかけで「トイトイ工房」を立ち上げに携わることになったのでしょうか?
まだその頃はトイトイ自体とはかかわりは直接にはありませんでした。しかし、トイトイの事務局長である高田さんから相談があったんです。移動販売車やスーパーを利用するお客様から「手作りのあたたかいお惣菜があったら嬉しい」という声があるが、まだトイトイを始めたばかりでお惣菜をつくる設備投資ができないので、どうすればいいか困っている、と。
ーー 作りたいけど場所がないトイトイ。大ピンチですね!その相談をどうやって解決したんでしょうか?
「地域のためにできることがわたしにあるならやろう」と答えました。数を製造するには人手が必要だったので、まず地域の女性たちに声をかけました。そして徳重商店でお惣菜作りをして、出来上がったものをトイトイや移動販売車へ提供し、販売する形で手作りのお惣菜の提供を実現しました。
ーー 「地域のために」と何かアクションを起こせる人は少ないです、めっちゃくちゃ尊敬です!その後、「トイトイ工房」として本格的に展開することになった経緯を教えてください。
ありがたいことに、お惣菜の需要が増える一方だったので、小さな商店の中で製造するにも限界があり「もっと安定した生産体制を整えよう」と高田さんからの提案で、拠点であるトイトイの中に「トイトイ工房」を設置し、そこで「阿東の母の味を支える作り手」として、私はじめトイトイで雇用してもらうことになりました。
「地域のために」走り続けて、次の世代へその想いとともにタスキを渡す
ーー 「阿東の母の味」を届けるトイトイ工房の設立が、地域にどのような影響を与えましたか?
私をはじめトイトイ工房を支えてきたのは60~70歳後半のやり手でした。「地域の女性たちが元気に楽しく働ける場所」として女性の活躍できる場所になったと思います。また、仕事を通じて地域の女性同士がつながり、新しいコミュニティが生まれる場所にもなりましたね。
ーー そうして、徳重さんたち…私はいつもレジェンドの皆さんとお呼びしていますが、皆さんの卒業をきっかけに、協力隊である私が花嫁修業ではないですけど、「地域のために立ち上がったトイトイ工房」のタスキをこの度、地域の若年層の女性とともに受け取ったわけですね!
そうですね。「地域のために」と立ち上がった地域の仲間たちと支えてきましたが、私が80歳となり節目を迎えるにあたり、トイトイ工房を次の世代に託すことに決めました。今でも、ともにトイトイ工房で働いた仲間たちとは、トイトイのスーパーや地域であったときには「よう私たち頑張ったよね」とか話しています。本当に振り返ると大変なこともありましたが、楽しく働き続けてこれまで暮らしてこれたのは地域を想って走り続けたからかもしれません。
ーー 地域の課題を解決しながら、ビジネスとしても成り立たせる取り組みですね。「地域のために」という想いから、アクションをおこして、そして次の世代へその「想い」もつなげてくれた徳重さん!私もまだまだ未熟ではありますが、その想いをのせておいしいお惣菜やお弁当がつくれるようにしていきたいです!本日は貴重なお話をありがとうございました!
